魚も味覚を感じることをご存知でしょうか?実は魚は、塩味を除く4つの味、甘味・酸味・辛味・苦味を感じると考えられています(海の中で塩味を感じていたら大変ですよね…)。人間は、舌で味を感じていますが、魚は意外なところで味を感じていることが分かりました。そこで今回は、魚の味覚について紹介します。
人間や魚は、味を感じる味蕾(みらい)という細胞があります。人間の場合は、味蕾が舌にあり、味を感じています。しかし、魚の場合は、口の中やヒゲ、ヒレ、唇に味蕾があり、味を感じているのです。口の中で味を感じると言っても、決して舌だけで味を感じているわけではなく、口の中全体で味を感じているようです。口の中で味を感じるのは分かりますが、魚はなぜヒゲやヒレ、唇などで味を感じる必要があるのでしょうか?
口以外で味を感じている理由
海底にいるエサを探す際に、魚はヒゲやヒレ、唇を用います。
例えば、オジサンという魚は、あごの下に2本のヒゲを持っており、そのヒゲを動かすことによって海底の小動物(ゴカイやエビ)を見つけます。
また、ホウボウという魚は、足のようにも見える胸(むな)ビレで、海底をトコトコ歩くことによって、エサを探します。
さらに唇で味覚を感じている魚に、カワハギがいます。カワハギは、おちょぼ口が特徴的な魚で、唇を海底に当てエサを探したり、食べられるエサか判断します。
そして驚くべきは、タコです。タコの味蕾は、口の周りと全ての吸盤に存在するようです。吸盤の付いている腕を伸ばし、触ることによって、食べられるエサかどうか判断しています。
このように魚が味覚を感じる器官が舌以外にある理由は、エサを探すセンサーとしての役割があるためです。
また、魚によっては、味として感じるアミノ酸(うま味)の感度が、人間の1万倍以上も高い魚もいるようです。魚がどのように味を感じているか不思議がたくさんありますね。
※参考ページ
「海のはくぶつかん」東海大学海洋科学博物館 2018,7夏号(vol48,NO3)
https://www.muse-tokai.jp/research_umihaku
筆者プロフィール:
さかなのNEWS編集部・小菅綾香
釣り船の娘として生まれ、釣り歴21年。現在、東京海洋大学の大学院生。