プクプクと愛くるしい姿で泳ぐ「ハコフグ」。東京海洋大学の客員名誉教授でもある、さかなクンが頭に被っていることもあり、有名な魚です。ハコフグは皮膚や内臓に毒を持っていますが、肉などの毒のない部分は食べることができます。今回は、東京海洋大学大学院生で釣り船の娘でもある小菅綾香さんに食材としてのハコフグをレポートいただきます。
※なお、フグの調理師免許を持たない人がフグ調理を行うことは、大変危険ですので、絶対にやめて下さい。
ハコフグは、皮膚にパフトキシンという毒を持っていますが、肉は無毒です。ハコフグは、かつて長崎県五島列島などで、「かっとっぽ」という郷土料理として食べられてきました。「かっとっぽ」とは、ハコフグの味噌焼きです。その作り方は、まず腹の部分をくり抜き、内臓を出し、ハコフグの体を器がわりにして、内臓※・ネギ・ショウガ・味噌を加え、焼き上げるというものです。フグというだけあって、身は引き締まって弾力があり、味も絶品と言われています。
※ただし、現在はごく稀に内臓にパリトキシンという毒を持つ個体がいるため、内臓の食用が禁止されています。絶対に食べないで下さい。
ハコフグの体から驚きのものが!
私の母がフグの調理師免許を所有していたため、母にハコフグの調理してもらったことがあります。いざ、捌かれると驚きの事実が判明! なんと、ハコフグとほぼ同じサイズの「肝」が出てきたのです。肝は人間で言えば、「肝臓」にあたる部分になります。なぜ、ここまで巨大化してしまったのでしょうか?
フグは4~6月の産卵期に向けて、肝に栄養を蓄えます。しかし、このハコフグは9月に捕獲したものです。本来なら、産卵を終えて肝が小さくなっている時期です。なぜ、この時期に、ここまで肝が肥大化してしまったのか、色々と調べてみましたが、原因は分かりませんでした。
ハコフグは、見た目は可愛くても、食材としてはミステリアスな点が多いと言えそうです。
最後に、繰り返しになりますが、フグの調理師免許を持たない人がフグ調理を行うことは、大変危険ですので絶対にやめて下さい。
※参考ホームページ
ふぐの産卵期:https://www.fugu-sakai.com/magazine/learn/2969/
TSURINEWS:https://tsurinews.jp/114183/
筆者プロフィール:
さかなのNEWS編集部・小菅綾香
釣り船の娘として生まれ、釣り歴21年。現在、東京海洋大学の大学院生。