「左ヒラメに、右カレイ」と言われるように、ヒラメとカレイは、顔の向きが左右どちらにあるかで区別されます。一般的には、顔の位置が左なのがヒラメ、右なのがカレイです。
しかし、この法則に当てはまらないカレイがいることをご存じでしょうか?今回は、顔が左にある「ヌマガレイ」をご紹介します。
〇ヌマガレイとは?
ヌマガレイは、北海道や東北の沿岸域に生息しています。主に海水と真水が混ざり合う汽水域に生息していますが、淡水である「沼」や「川」にも遡上します。そのため、「ヌマガレイ」と名前が付けられました。
宮城県石巻市では、別名「カワガレイ」とも呼ばれています。見た目は、背びれ・尻びれ・尾びれに黒い帯状の模様が入っており、表面はイボ状のザラザラしたウロコがあります。食用として流通していますが、その淡白な味から北海道ではあまり人気がないとのこと。ただ、最近では、活魚での出荷を増やしており、価値が高まってきているようです。
〇なぜ顔が左にあるのか…
確認ですが、ヌマガレイの分類は、「カレイ目カレイ科ヌマガレイ属」となっており、正真正銘カレイの仲間です。様々なカレイの中でも顔が左にある種類は珍しいといえます。
ではなぜ、カレイなのに顔が左にあるのでしょうか?実は、日本に生息するヌマガレイは100%奇形なんです!ヌマガレイは奇形が多く、カリフォルニア沿岸では約50%、アラスカ沿岸では約70%が左向きとなっています。ヌマガレイの視神経の通り方を見ると、右に顔があるのが正常です。
つまり、本来ならば右に顔があるべきなのに、奇形でない正常な個体が少ない現状。どうして奇形になってしまうのか、なぜ日本は100%奇形しかいないのか、その原因について、今回調べた中では不明でした。
顔が左向きの理由が、「奇形」だなんて驚きですね。皆さん、ヌマガレイを見ても決してヒラメと間違えないようにご注意ください!
※参考ページ
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑:https://www.zukanbouz.com/syu/%E3%83%8C%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%82%A4
筆者プロフィール:
さかなのNEWS編集部・小菅綾香
釣り船の娘として生まれ、釣り歴20年以上。東京海洋大学大学院を卒業。釣りアンバサダーとして釣りや魚、水産の魅力を伝える活動をしている。