上品でいい出汁がとれ、日本食には欠かせない昆布。
産地で昆布漁の時期になると昆布を干す人手が足りず、地域をあげて昆布を干す作業をするようです。想像以上に過酷だった昆布漁をご紹介します。
昆布漁の現場は「地域総出」の一大イベント
昆布漁の中心地である北海道の日高地方。特にこの地域では「日高昆布」と呼ばれる昆布が豊富に採れ、その品質から全国で愛されています。日本食で大活躍する昆布ですが、実は昆布漁の現場は予想以上に過酷です。
昆布漁は、稲刈りやさくらんぼ狩りと似た「地域総出」の季節労働。普段は別の仕事をしている人々も、昆布漁の最盛期には昆布を干す仕事に参加します。
朝5時には海岸に集合し、夜明けと共にスタート。採れた昆布を海風と日光で干す作業が始まります。働き手には学生や地元住民も含まれており、彼らは干し終えた後、通常の学校や仕事に向かうというハードスケジュール。
地域全体の結束力がなければ、この規模の漁業は成り立たない。そんな現場を知ると、昆布への感謝がさらに深まりますね。
昆布は等級で扱いが全然違うらしい
昆布には等級があり、品質によって細かくランク分けされています。特特に「上物」とされる昆布は扱いが特別丁寧です。
採取後は、1枚1枚を広げ、乾燥中に形が崩れないように注意を払います。逆に、「並」の昆布は、スピード重視。大量に干して効率的に処理されるため、その扱い方には大きな違いがあります。
20kg以上もあるような昆布を何度も運びながら広げる作業は、体力勝負の連続。さらに、トラックで次々に運ばれてくるため、作業は休む間もなく続くのです。
昆布漁の未来と可能性
昆布漁は伝統的な産業でありながら、いくつかの課題を抱えています。高齢化が進む地域では、働き手の確保が難しくなってきています。
そこで、新たな取り組みとして、産地によっては「昆布漁体験」ができるところもあります。
昆布漁の作業を「地域体験」として提供することで、若い世代が漁業や地域の魅力に触れるきっかけを作ることができます。このような試みは、地域活性化だけでなく、昆布という文化を次世代に継承する重要な役割を果たすのではないでしょうか。
感謝と共に昆布を味わおう
昆布漁が支える私たちの食卓。湯豆腐やおでん、お吸い物――どれも昆布の力がなければ成立しません。
その裏には、地元の人々の努力と地域全体の協力があります。
次に昆布を手に取るときは、「この昆布には、誰かの汗と努力が詰まっている」と思い出してみてください。感謝の気持ちで味わう昆布料理は、きっともっと美味しく感じられるはずです!