魚料理の食べにくさの最大の課題は「骨」ではないでしょうか?しかし、魚料理の中には、あえて骨ごと食べるお刺身もあります。今回は、長崎県の離島・壱岐(いき)島で出会った「背越し(せごし)」をご紹介します。
「背越し」とは、お刺身の一種で、骨が柔らかい若い魚を、ウロコ・頭・内臓・ヒレなどを取り除き、中骨ごと薄く輪切りにする料理のことです。背越しに使われる魚は、アジ・アユ・タチウオ・タカベ・ベラ・スズメダイ・メバル・イサキなど地域によっても様々です。魚を骨ごと食べるということに、抵抗感を抱く方も多いと思います。しかし、この食べ方だからこそ味わえる美味しさがあることが分かりました。
魚は、骨の周りや皮と身の間などに旨みが詰まっています。そのため、あえて骨ごと噛みしめることによって、旨みと甘味を味わうことができるのです。私が長崎県の壱岐で、初めてアジの背越しを食べた時、その美味しさに感動しました。骨はとても柔らかく、噛むほどに旨みが出てきます。魚本来の美味しさが最大限に生かされた料理だと感じました。
では次に、背越しの作り方について紹介します。
背越しの調理方法
①ウロコ(ゼイゴ含む)・頭・内臓・ヒレを取り除く
②血や汚れなど綺麗に洗う
③皮を付けたまま(気になる場合は薄皮を剥がしてもOK)、身を2㎜ほどの輪切りにする
④そのまま食べるもよし、お好みで氷締めや、酢味噌や調味料に漬けて食べるのも美味しい
※調理のポイントは、③のいかに薄く切れるかです。
背越しを作るときに、最も重要なことは骨が柔らかく食べやすい魚を選ぶことです。魚の骨の柔らかさは、「魚のサイズ」と「鮮度」に左右されます。背越しに適した魚は、小さく若い魚です。魚は大きく成長するにつれて、骨が硬くなります。さらに、鮮度が悪くなると、小さい魚でも骨が硬くなってしまうため、鮮度が良いうちに調理しましょう。 また、背越しは漁師料理で、小さすぎて市場で売れない魚を、船の上で食べたことが始まりだと言われています。漁師や地元の人ぞ知る美味しさを味わってみてはいかがでしょうか?
※参考ホームページ
ORETSURI:https://oretsuri.com/kiaji-segoshi
筆者プロフィール:
さかなのNEWS編集部 小菅綾香
釣り船の娘として生まれ、釣り歴21年。現在、東京海洋大学の大学院生。