世界中でさまざまな種類が知られているサメの仲間は幅広い環境に生息しています。今回は深海(200m以上)に住むサメについて見ていきたいと思います。
私はこれまで多くの深海ザメを釣り上げてきました。そこで感じたのは、深海のサメは表層のサメに比べて泳ぐのが得意ではないということです。
例えば、表層のサメでは、泳ぐ速さがサメの中で最速とされる『アオザメ』がいます。アオザメは、釣りで終始激しい引きが繰り広げられることで有名です。
それよりも少し深い水深50m前後から生息する『フトツノザメ』は、深いところでは水深400mくらいでも見られますが、どちらかというと表層に生息するサメに近いフォルムをしています。そのためか、釣りでも時々、強烈なファイトをします。
これに対して、今回注目する深海に生息するサメは、釣りではほとんど引かずに海面付近まで来ると首を左右に振ることが多く、ずんぐりむっくりしたフォルムをしています。
その深海に生息するサメの例が『ユメザメ』です。ユメザメは、その姿を見てわかる通り、鰭が小さく潜水艦のような姿をしています。ちなみに、ユメザメは目を瞑ることから夢を見ているようでユメザメと名付けられたとか・・・。(諸説あり)
ほかにも深海ザメには独特のフォルムをしている種類がいます。
例えば、古代ザメといわれ、ウナギのような姿をしていることから“ウナギザメ”の異名を持つ『ラブカ』。そして、同じく古代ザメと呼ばれ、睨んだような目つきが特徴の『エドアブラザメ』。両者はカグラザメ目に属しており、多くのサメとは異なった形をしています。例えば、通常は2基ある背びれを1基しか持っていません。さらに、サメの鰓孔(えらあな)は通常5対のところ、ラブカは6対、エドアブラザメはさらに多い7対あります。
このように、同じサメといっても多くの違いがあります。その中でも深海ザメは、深海に生息しているため研究があまり進んでいない種もいます。そんなまだ未知の世界が広がる深海ザメ。少しでも興味を持っていただけると幸いです。
※参考ページ
サメMANIAX (https://same.etc64.com/rabuka/)
Pet Pedia (https://petpedia.net/article/828/shark)
筆者プロフィール:
深海魚ハンター 西野勇馬
北里大学海洋生命科学部卒。ネットショップ サメの歯アクセサリー専門店~深海ラボ~を展開。IGFAオールタックル世界記録44種保持。テレビ東京「ありえへん∞世界」ありえへん深海魚ハンターとして出演中。その他、多数のメディア出演。
YouTubeチャンネル「西野勇馬【深海魚ハンターチャンネル】」配信中。
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