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「築地市場」で学んだ信用の大切さ  信用が魚を美味しくする理由とは

 2018年10月6日に築地市場が閉場となり、11日に豊洲市場が開場されました。80年以上の歴史を築いてきた築地市場に、私も少しばかり勤務したことがあり、お世話になりました。

そのときのことを思い返してみると、朝3時からセリ場で働き、8時以降は注文の電話を取りまくる日々が続いていました。その中で、最も学んだことは信用の大切さのように思います。

魚の流通はとにかくスピードが命。そのスピードのためにも信用は欠かせません。「アイツが勧めるのだから間違いない」とならなければ、魚の説明をしているうちに鮮度が悪くなり、売り物にならなくなってしまいます。

また、システムでなく、わざわざ電話でやり取りするのには、信用を築く意味合いもあります。システムを使えば受発注が効率化はされる面もあると思いますが、トータルで考えると魚の場合は必ずしも効率的になるとは言えません。

魚の業界ではよくあるのは、システムで処理できない「いつもと違う魚」が入荷することです。そのようなときでも、何気ない電話でのやり取りで信用を築いておくと、一言のお願いで早く流通できたりします。信用を築いて、どんな魚が来ても一言て龍つさせられる状況を作っておくことが魚の業界では大事なのです。

豊洲市場でも「信用」が大切にされる状況は、まだまだ続くように思います。

※上越タイムス 2018年10月13日第2土曜日 首都圏コラムより内容を編集して掲載

かつての築地市場

【筆者プロフィール】
さかなのNEWS編集長・ながさき一生
漁師の家庭で18年間家業を手伝い、東京海洋大学を卒業。現在、同大学非常勤講師。元築地市場卸。食べる魚の専門家として全国を飛び回り、魚好きのゆるいコミュニティ「さかなの会」を主宰。

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この記事を書いた人

さかなのNEWS編集部。魚、漁業、水産業のことを「広く」「深く」「ゆるく」伝えています。

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