水産業界における仕事といえば、漁師や魚屋、仲卸などがすぐに思い浮かぶかと思います。
しかし、魚大国である日本では知られざる職業がいくつもあるのです。
漁業や市場で活躍する裏方の仕事や機械のメンテナンス、美味しい寿司に欠かせない職人まで。一般的にはあまり知られていない、魚に関する職業をご紹介します。
①市場には欠かせない物流のプロフェッショナル「小揚(こあげ)」
日々多くの魚を扱う豊洲市場市場で、大量の荷物を素早く正確に運ぶ「小揚」という職業があります。ターレという市場ならではの乗り物に乗り、市場の中で荷物を運ぶことに特化した職業です。
小揚のすごいところは、荷物の宛名がわからなくても正確に届けてくれるところです。雨の日に伝票がぐちゃぐちゃになってしまい読めなくなっていても、なぜか届く。
私たちが日々新鮮な魚をスーパーで見ることができるのは、市場での物流を支える小揚の人々のおかげでもあるのです。
②競りの結果を正確に速記する人
市場で行われる競りを初めて見ると、そのスピードに驚かされます。
ものすごい速さで行われる競りもすごいですが、さらにその競りの内容をメモする人もいるんです。
素早く正確に「誰に、いくらで、何を売ったか」を記録していきます。買い手や金額を間違えてしまうと大問題になる重要な仕事です。
ベテラン中のベテランしかできない仕事かと思いきや、実は若い人が担当することもあるそうです。
素早く正確に記録する能力が求められる仕事です。
③水産加工ならではの、ニッチすぎる機械の設計・メンテナンス
大量の魚を加工していく機械にも、様々な種類があるんです。
時期や魚種によって大きさも形も違う魚。それらを適切に加工するために、とてもニッチな機械が開発されています。
「ホタルイカの目玉を取るだけの機械」
「氷頭(ひず)と呼ばれる、鮭の鼻先の軟骨部分だけを切り取る機械」
「アジのゼイゴ(横にある硬いトゲトゲしたウロコ)を取る機械」
これらを開発したり、メンテナンスしてくれます。
④刺身のパックに菊の花を乗せる職人
刺身パックに乗っている菊の花。実は、職人が手で乗せているそうです。
繊細な作業なので機械では難しいようで、菊の花を乗せることに特化した仕事があります。
⑤寿司のシャリをベストな状態に炊く職人
職人が握る価格帯の高い寿司屋では、シャリを炊く専門の職人がいるそうです。
複数店舗展開している場合、シャリの味を統一するため、専門の職人が各店舗を回って米を研ぎ、炊き方を指導しています。
ご紹介したのは海のように広い水産業界のほんの一部。
日々の暮らしの中で魚を見かけた時には、その裏側にあるお仕事にも思いを馳せてみてはいかがでしょう。